車輪人の自転車日本一周・登山の旅 車輪人の自転車日本一周・登山の旅

2003年 6月28日 (土) - 356日目

天気 : 曇のち雨

体調 : 良好

宿泊地 : 竜飛野営場

本日の移動 : 黒石市~金子町~三厩村(竜飛崎)

走行距離 : 107.5km

累計距離 : 15,565km
本日の出費

食費 : 682円

観光費 : 500円

宿泊費 : 0円

雑費 : 1000円

費用詳細 : 観光費:太宰治記念館(斜陽館)、雑費:キャンプ場・竜飛温泉

現在地 : 青森県三厩村  ( 全走行図 )

台風?!での再会・出会い

出発前に田名部さんと
 明るい日差しが窓に差し込み目が覚めた。外を覗くと雲こそ多いものの所々に青空さえ見えるほどでそれほど悪くはなさそうだ。予報では夕方から雨と言うことで、それまでに今日の目的地である本州の果て”竜飛”を目指し、そして出会い再会をそこで向かえる予定だ。楽しみだ♪

 今朝は6時に温かいベットで起床した。朝食を団欒のもとご馳走になり、そして出発準備。最後は家前で記念撮影をお願いしたのだが、今回もおじいちゃんがこの場に居なかったのが残念!活発なおじいちゃんはもう出かけしてしまっていた後であった。ちなみにお世話になった田名部家みんな活発で明るく、ほんと話しやすく楽しく、そして温かさに包まれた時間を過ごすことが出来た。ありがとうございました。こうして田名部さん家族からたくさんの元気をもらって今日も元気に漕ぎ始めた。

 漕ぎ始めたものの1kmも進まぬうちに観光地へと到着した。この黒石市には”こみせの町並み”と言われる藩政時代に考案されたと言うアーケード街が今もほぼそのままの形で残っている。もちろんその町並みも含めてだ。そんなちょっと変わった町並みに惹かれるところばかりで、もう行ったりきたりと慌ただしく”こみせ”を見てまわった。

 この通りには酒造が多く、今も幾つかそのまま残されている。その中の一つを見学させてもらった。何度か増改築を繰り返し、一人では迷うほど中は複雑であり、その規模に驚かされっぱなしで、そして奥にはたくさんの蔵が立ち並んでいた。定期的にこのなかで三味線の演奏会が行われていると言うが、時間的に今日は見れず残念だ。

 ちなみに、今日はどうしても竜飛まで行きたい。”もーさん”に徒歩で自然歩道を旅されている”田嶋”さんが、今日竜飛に到着すると聞いていたので、どしても間に合わせたく、昨日から慌ただしく登山をし、観光をし急いでいるわけだ。田嶋さんは自分の旅の出発へのきっかけにもなった人であり、また、やればできると言うことを教えてくれた人でもある。そんなことからもどうしても会ってみたかったのだ。そんなことから、今日も慌てて、こみせの観光は1時間ほどで済ませて出発した。ちなみにこの辺りは、こみせの町並み意外にも普通に旧家が所々に残されて、またそこだけではあるがアーケードさえ残っているところもあった。また茅葺屋根も珍しくない。そんな町並みを眺めながら郊外へと徐々に抜けていった。

こみせの町並み
アーケード付き!
消防団まで
味があります!!
魅かれる町並み
こみせの町並み
鳴海家
鳴海家の庭園
町並みを快走
おっと!取材も?!
アーケード

 予報に反して黒石市街を離れた頃からポツポツと雨が落ちてきてしまい、結局今日もカッパをはおることになってしまった。それでも黙々と竜飛を目指し走り続ける。ただ、今日は風が強い!荒れ狂うように前から横からと吹きつけ苦しめる。また時折の突風だけに性質が悪く、何度かバランスさえ崩しそうになるほどであったが、それでも負けじと漕ぎ続け、五所川原市外へと入った。さすが市街だけに風こそやや穏やかになったものの、なんだかこの町は信号が多く、悩まし焦らした。多いと言うよりも自転車にとってタイミングが悪すぎると言った方がいいだろう。次の信号、次の信号と必ずといっていいほどギリギリで間に合わずに捕まってしまう。もう信号無視さえしてしまおうかとも思うほどに、ペースをすっかり乱され苦しめてくれた。

 ただ、この五所川原を最後に後はのどかな田園風景の広がる道が進む。ただ、風は強い。ほんとうなら田園のど真ん中を走る道で行きたかったのだが、ここは無難に山裾を走る国道339号をとったのだが、こちらもアップダウンはほとんど無く、また山のお蔭かいくぶん風が和らいだ。ただ、突風は時折激しく叩き付けた。自然と手に力が入りグッと姿勢を 低くし堪える。数分に1回、そのような突風こそ襲われるが、それでも黙々と漕ぎ進み、金木町へと入った。

 ここでは太宰治記念館に立寄った。実際私はこの方の本を読んだことはおろか、どんな人なのかもよく知らない。さらには文学にさえ興味が薄かったが、でも、有名な人だけに、どんな人で、どんな人生を歩んできたのか興味を持ち、やや高かったものの入館することにした。「この父はひどく大きな家を建てたものだ。風情も何もないただ大きいのである。」と太宰が評したこの家は、言葉どおりほんとうに大きく、自分も同じように風情さえ感じられないほどの巨大さで、大きく張り出した屋根から、なんだか頭でっかちの不恰好のようにも感じた。

 中は見た目どおりに広く、またその贅沢な造りに驚かされた。なにせ洋風間まであり、当時の文明開化の波をここからも感じることができた。もう魅せられっぱなしであったが、ただ、肝心の太宰治に関しての説明はほとんどなく、資料としては遺品等が並べてあるだけに過ぎないのが、自分としては残念であった。

太宰治記念館
(斜陽館)
記念館内
記念館内

 相変わらず田園地帯が続いた。そして風である。どんだけ必死に漕いでも変わらぬ風景と進まぬ自転車。それでも確実に少しずつでも進んでいく。竜飛目指してもう漕ぐしかない。寄りたい観光場もなくペースを乱さぬよう黙々と漕ぐだけだ。雨の方は降ったり止んだりを繰り返していた。ただ、この風のせいで真横から叩きつける様に降り、とてもまともに前を向けないのが辛い!ただ、小雨でいてくれているのが唯一の救いであった。

 「浅い真珠貝に水を盛ったような・・・」と、そう太宰が表現した十三湖を抜ける。濁りがひどく底はもちろん見えないが、見るからに浅そうな泥沼と言った感じの湖でそれが見渡す限り続き、まさに浅い真珠貝のようであった。以前、八郎潟資料館で見た、干拓前の八郎潟にも似ていた。きっとこんな景色だったのだろうと思いながら眺めていた。ちなみに昔(700~800年前)は港町として大いに栄えていたそうだが、大津波で壊滅してからは衰退してしまったという。

 十三湖を抜けると、この津軽半島の肩辺りにちょこっとおできの様に突き出た権現崎が姿をあらわした。断崖絶壁に囲まれた小さな半島であり、周遊する道は遊歩道しかない。自分の走る国道は、その半島の付け根を抜け、小泊という小さな集落へと入った。この辺りは3方を山で囲まれているおかげで、風がほとんどなく、唯一ホッとしながら走れたところであったが、この先の小さな峠を越えて、道の駅・小泊へ入ると恐ろしいほどの風が吹き荒れていた。ひとつ山を越えただけでえらい違いである。この先の風に不安をさらに感じながらも、この道の駅で10分ほど鋭気を養って気合を入れて、最後、竜飛崎へ向けてまた漕ぎ始めた。

 風はさらに強くなる。時折吹く突風はハンドルをとられ、ガードレールとぶつかることが何度かあったほどだ。とくに沢の流れる谷間に入ったときはひどく、グッと身体を低くし、ひたすら堪えて走り抜けていった。そして竜飛崎への最後の関門である峠越え!500m近くまで登らなけれんばならいあのだが、その坂よりもここでは強風に悩まされ、苦しめられた。もう勘弁してくれと泣きたくなって来るほどであったが、それでも、竜飛崎という目標があっただけに後戻りしようとは思わない。でも、この今日の目標が無ければ、間違いなくすっと手前で走行を断念していただろう。目標とは、我ながら物凄い力を生み出すものだと肌で感じながら黙々と最後の峠に挑み始めた。

 半端でない・・・。坂の傾斜も12度ほどと激登に加えて台風のような強風。なにせ、風の吹き抜ける谷間沿いに登っていくのだから当たり前である。S字を描きながら登っていくのだが、とくに谷に突き出たカーブ部は悲惨そのもので、突風と言うよりも、なぜ自分が台風のど真ん中にいるのだと不思議に思うほどの激風であった。とても漕ぐ事が出来ず、突風が去るまで自転車を止め身を屈めて待つ。ただ、これも最後には限界があり、結局、自転車を押して登って言ったのだが、それでも、進まない突風が時折吹き付けた。さらに一番強烈だったのが、自転車を押しているにも関わらず、突風でハンドルを取られ、さらには重い自転車はズルズルと引き戻され、そのまま嘘のように転がり転倒。自分も立ってられずにしゃがみ込む始末であった。その強風の激しさからバックの補助金具を何箇所かまた引きちぎられてしまった・・・

十三湖
風雨に悪戦苦闘
峠越えだぁ~

 ただ、ずっとこんな風が吹いているわけではない。S字の道の山側にまわると嘘のように風は和らぎ、漕いでのぼることもできた。漕いでは押し、漕いでは押し、風に耐えながら進んでいった。そんな時であった、ある一台の車が通りかかる。ほとんど車を見なかっただけに久しぶりの車であり、通りかかるだけでもホッとするのだが、なんと「中村さんですかー!」と、声を掛けてきてくるではないか?!嬉しいことに秋田からHPを見て駆けつけてきてくれたのだ!声援を浴びるものの、だが、今はそれどころではない、こうして立ち止まっているだけでも辛い状態である。ゴール地である竜飛で待ち合わせをし、また風に向い押し、また漕ぎ始めた。

 さらに車は続く。なんと今度も同じように声をかけてきてくれるではないか!今度は”もーさん”、さらにこの地で再会をしようと話していた”平井”さんと、そして平井さんと途中で知り合い共に旅をしていた”神田”さんがもーさん車に同乗。もう間に合わないと思い、もーさんに最後は送ってもらいここまで来たそうだが、やはりそれどころではない。ただ、その声援が嬉しく、またひとり黙々と戦ってきたのが、こうしてじかに応援され、そして心配してくれ、一人でないことを改めて実感し、最後の力を振り絞っていった。ちなみに「車に乗ってけ!」とも言ってくれたが、自分自身と戦いとして、ここまで来た以上、途中で諦めたくなく、またこんな中途半端な状態で諦めたくもなかった。

  のこりあとわずか、峠ではこの風雨にも関わらず、もーさん達が車から降り、手を振って迎えてくれ、そして励ましてくれた。涙が出てくるほど嬉しくそして峠越えの最後は「がんばれ!」と、自転車を後ろから平井さんが押し走ってくれた。雨の中をである。もう嬉しさのあまり、この悪天に反して笑顔が耐えない。そして最後は気持ちよく、そして慎重に突風に気をつけながら坂を下っていき、そして無事に竜飛崎!!そんな途中でも今度は秋田から駆けつけてくれた今泉さん、青木さんがまた迎えてくれ、最後は常に温かさに包まれていた。

四苦八苦・・・
坂は続く・・・
あと少し!!

 19時ごろ、ようやく強風と雨と戦いキャンプ場で落ち着くことが出来た。そして一息ついたここで初めて平井さんと再会を喜び合い、そして共に会いに来てくれたチャリダー神田さん、そして、秋田から遥々、今泉さん、青木さんとみんなで喜びを伝え、そしてお礼をいった。ほんとうにありがとうございました。そして今日この地で集まることのきっかけにもなった主役である田嶋さんも、ここに18時ごろ到着していた。田嶋さんは約2ヵ月半の東北自然歩道の旅をこの竜飛崎で完結しようとしている。今日はその前夜祭だ!そして明日、のこり2kmの距離を歩くという。もちろんその最後を見届ける為、いや共に歩きたい為にこうしてみんややってきたのだ。

 今日も寒い!みんなで駆け込むようにして竜飛温泉へともーさんの車で送ってもらいもらい、走りこむように温泉へぞれぞれ「ジャバーン!!」と飛び込む。ようやく血液が流れ出したのではというくらい、ジンジンと指先が鼓動を始めた。風雨に打たれそれほどまでに体温を奪われていたのだ。ただ、申し訳なかったことがひとつ、駆けつけてくれた今泉さん、青木さんも来るのかと思っていたのだが、待たせてしまうことになってしまった。どうも再会、出会いが嬉しく、さらにはバタバタとしてしまい勘違いをしいていたようだ。急いで温泉から翔け戻り、そして団欒を楽しみ、今泉さん、青木さんは先に帰宅へ。ほんとうにありがとうございました!!

 さて、最後は宴会だー!もーさんお手製の豪華料理に囲まれて、焼酎にお酒だ!こうしてみんなが集まり会話が弾まぬわけもなく、大いに盛り上がり、楽しい夜は過ぎていった。

 ちなみに風雨はその後もやむ事はなく、この自炊場にテントをそれぞれ張って1時頃就寝した。

竜飛!到着~♪
田嶋さんも!!
もーさんの手料理
みんなで宴会

 ★今日のお食事♪
 ・朝食 : 豪華な朝食家庭料理(田名部さん宅にて)
 ・昼食 : コンビニ弁当・パン×2
 ・夕食 : たのしく宴会(肉・野菜たっぷり)




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