車輪人の自転車日本一周・登山の旅 車輪人の自転車日本一周・登山の旅

2003年 6月8日 (日) - 336日目

天気 :

体調 : 良好

宿泊地 : 門内小屋

本日の移動 : 関川村~飯豊山荘~梶川尾根~門内岳

走行距離 : 39.2km

累計距離 : 14,650km
本日の出費

食費 : 0円

観光費 : 0円

宿泊費 : 0円

雑費 : 0円

費用詳細 :

現在地 : 飯豊連山  ( 全走行図 )

そこは天国

 昨日はあれだけ気の重かった飯豊登山も一人じゃないというだけで足取りは自然軽くなっていた。そう!1泊2日間だけ昨日来てくれた”牡鹿”さんが同行してくれることになったからだ。でも、実際の道具や山行に関する問題は何も解決してないのだが、やっぱり一番の問題が2泊3日の”孤独”ということだったんだろう。山行での孤独ほど不安で怖いものはない。

 今朝は5時に起床してやり残してしまったHPの更新を慌ただしくしながら自炊。そして同時に出発準備だから忙しい。今日は40km近い自転車での登りと、そしてコースタイムで7時間半ほど登りだからキツイと言うほかない。車での移動の牡鹿さんとは登山口で待ち合わせし、7時ごろ出発した。ただ、このとき「よかったら荷物運ぶけど?」と問われたときに迷ってしまった。荷物がなければどれほど楽か・・・ とくに今回は自炊食が多いだけに重い。それに荷物だけなら人力登山に反しないのでは?と思いっきり迷ってしまったが、でも最後はやっぱり、元々一人で漕ぎあがるつもりだったので、その状況のまま荷物も持って出発することにした。

 早朝だけにまだ涼しく漕ぎやすい。この朝の雰囲気が何もかもが清々しく、また木々までもが水々しく見える。そんな中を自転車で風を切りながら走るから気持ちいいというほかない。また勾配のほうもほとんどなく、意外に快適に漕ぎあがっていった。そして国道を逸れ、いよいよ登山口で飯豊山荘までの登りだ!と気合を入れるが、相変わらず勾配はなだらかか平坦、いや時には下りまであり、とても登山口までの道とは思えないほど快適であった。また向かえくれた朝ならではの景色も美しく、楽しくさせてくれた。

米坂線と共に
幻想的な朝靄の玉川
近づく飯豊連峰
えっちらおっちら
 9時半、思っていたよりは早く飯豊山荘に到着した。牡鹿さんとも合流してさっそく登山準備へ取り掛かろうというとき、こんなところで意外にも「中村さんですか?」と声を掛けてくれる方が・・・ 神奈川からこの飯豊山へと夜を徹して走り来てくれた”石井”さんで、やっぱり山好きで、一緒に登れたらなと来てくれたそうだ!抜き打ちということもあり、驚きもあり、また喜びも大きく、会った早々から話に夢中にまってしまった。こうしてさらに一人を加えて3人で登山?とも思ったのだが、石井さんは徹夜での運転だったために疲れもひどく、今日は1日のんびりすることにし、明日、1泊2日で登ろうかと予定を変更しようとも考えてもいた。「でも、元気があれば是非一緒に行きたいです。せっかくこうして会えたのだから・・」そう、疲れている石井さんに強く押してしまい、結局は牡鹿さんと同様の1泊2日間の登山ということで引きずりこんでしまった。私は2泊3日でさらに遠くまで足を伸ばす為に、2日目からは別行動となってしまうが、でも、1泊だけでお、こうしたたくさんの人たちと登る登山は初めてなだけに、どんどん登山の期待が膨らみ、もうあの不安は嘘のように消えていた。

 でも、現実はすぐ襲ってきた。不安のひとつであったザック、35Lの容量だけにしかなく、とても2泊3日分の荷物など全部はいりきらない。幸い、このシーズンオフの時期に限り山小屋が無料開放されているということでテントは持って行かなくてもよく、その分だけは助かったとはいえ、でも全くと言っていいほどザックに収まらず、無理やりザックの後ろに寝袋を含む数点を縛りつけてのなんとも不様は醜い姿での出発となってしまった。

 パッキングで苦労してしまったせいで出発はやや遅くなってしまい11時10分となってしまった。コースタイムどおりならば到着は19時近くになってしまうことになり、やや時間的不安を抱えながらの第一歩となってしまい、そして迎えてくれた山はいきなりの急登!いや、激登と言うしかないほどの心臓破りの坂だった。(梶川尾根) 時間に余裕がないだけにどうしても、体力以上に無理をしてしまう。さらには日差しが最も高い日中だけに、暑さとの戦いも加わり、まだ出発したばかりというのに、果たして登れるか、日暮れまでに間に合うか、と、それぞれ不安が込み上げるスタートとなってしまった。

なんと今回は3人で!
激登で苦しいが・・・
湯沢峰♪

 もう汗ビッショリの四苦八苦しながらでも、まずは最初の小ピーク”湯沢峰”に12時40分に登頂した。さすがに疲労の色は濃く、ここで20分ほど休憩してから、さらなるピーク”梶川峰”に向けて出発した。この先より細い尾根沿いとはいえ残雪が顔を出しはじめた。そして同時に疲労もさらにそれぞれ濃くなる。もちろん私も含めてだ。久しぶりの重装備。そのわりには貧弱なザックでの挑戦のせいで、方に荷物が食い込み痛い・・・ さらには大きく後ろに食み出した荷物のせいで、常に後ろから引っ張られている感があり、余計に重く感じ、疲労も濃くなってしまう。でも、沢は得意だが登山には馴れていない牡鹿さん、そして徹夜明けの石井さんに比べればまだまだ元気であった。

 疲労、そして残雪に阻まれ、登山するつもりで来たわけではなかっただけに軽装備しかもっていなかった牡鹿さん、さすがに苦しくなってくる。とくに、この残雪に対しては装備不十分で、アイゼンもなく、また、靴も軽登山靴でしかない。そのためこの先の山行には不安は多く、また、この登山の動機が、私”ひとり”だからと不安を感じてくれての、また、私が山行の孤独さを愚痴っていただけに、一緒に同行してくれることになった登山であったのもあり、でも、今はこうして石井さんも加わっとことで、そんな心配もなくなり、「私がいなくても・・・」そうも思い、この先は残念ではあるが断念することに・・・ 悔しくまた寂しくもあり、またこうして来てくれた感謝の気持ちでいっぱいであったが、逆に、連れて来てしまっての申し訳なさも込み上げての、なんとも悔しい別れではあったが、でも、ここはお互い笑顔で牡鹿さんを14時ごろ見送り、そして2人、新たな気持ちで登頂に向け再出発した。

北股岳方面
残雪を歩く
やった!梶川峰登頂

 登山道は相変わらず険しい。途中2人の方とすれ違ったが、「まだまだ道はつらいよ!」と残すのみであった。でも、「梶川峰」まで出れば、あとは天国だ!」そうも言っていた。その”天国”という言葉を信じ、急登、時には急な砂場等の難所もあり、もちろん残雪も乗り越え、ただただ必死で、そして時間とも戦いながら一歩一歩標高を稼いでいった。とくに徹夜明けの石井さんの疲労はやはり濃い。そしてもちろん私も自転車での走行後の登山だけに辛い。でもそんな中で登りきり登頂した例の”梶川峰”、その喜びは大きく、2人ガッツポーズを交わしながらもちろん記念撮影と喜びを分ち合った。孤独とは違いこうして、喜び、苦労等、全てを分ち合えるのがなにより嬉しい。いつもなら、どんなに綺麗な景色を見ても、苦しい思いをしても、誰にもそれを伝えることが出来ず、ただ自分と戦い、自分一人で感動し喜んだりの山行。それでは結局は空しさだけしか残らない。何事も、共感し分ち合えるのが嬉しく、それが感動や歓喜へと変わる。ここにはそれがあった。

 ”天国”、まさにその言葉通りのあとは快適な稜線の散歩となった。すでに森林限界は越え、広がるのはクマザザ、ハイマツ、そして色とりどりの高山植物。そして広がる展望はすでに日の傾きだした優しい光に照らされる山々、その美しさに言葉を失うほどであった。もうここまで来ると、先には目指す今夜の寝床である小屋が、稜線沿いのいわゆる両側崖の上というところにポツンと可愛い姿が見えた。雄大な山には不似合いなほどの可愛さで、見ているだけで愛着まで沸いて来るような小屋であった。そんな小屋へと続く緩やかなアップダウンを越えながら稜線沿いの天国道を2人楽しみ、17時半、無事に門内小屋へと入ることが出来た。その安堵感からくる喜びも言葉にならないほどであった。

霞かかる山々
ちょー綺麗!
ようやく到着

 さすがに2人、小屋についてからは疲れを忘れてはしゃいだ。沈み行く夕日に魅せられながら、また、すぐ脇の山頂”門内岳”へと登頂し、記念撮影をとったり、さらには歩き水場を探すということさえも楽しく感じた。ただその水場は残念ながら残雪に跡形もなく埋まってしまっているようで、仕方なく流れる雪解け水を使用することにした。

   今夜はどうやらこの小屋貸切のようだ。2人だけで騒ぐ小屋の夜もまた楽しい。でも、これが当初の予定通りだと、間違いなく”ひとり”、この標高約2000mという別世界での孤独との戦いを想像しただけでゾッとする。が、今日はこうして石井さんと夜は、重いながらも苦労して持ってきたウイスキーと日本酒、そしてさらには豪華つまみを手に、今夜は”日記を書く”といういつもの仕事を忘れて、久しぶりの”休暇”という気分で夜は楽しく更けていき、21時半頃就寝した。

日に向って
門内岳登頂♪
こちらが寝床です
夕日
染まる空

 ★今日のお食事♪
 ・朝食 : ごはん&レトルトカレー
 ・昼食 : おにぎり・パン
 ・夕食 : ごはん&レトルト丼




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